2012年5月8日火曜日

うつ病の人との接し方:接し方に悩む家族、友人、同僚のために(心理学総合案内こころの散歩道)


うつ病の人との接し方:接し方に悩む家族、友人、同僚のために(心理学総合案内こころの散歩道)

うつ病の人との接し方:「励ましてはいけないのなら、どう接したらよいのか」家族、友人、恋人、会社の同僚のために。。鬱病の基本を理解し、うつ病の患者と家族を支えるためのページ。 
心理学総合案内「こころの散歩道」/癒し、臨床心理学入門/鬱病(うつ病)接し方:新潟青陵大学大学院 臨床心理学研究科 教授 碓井真史  

はじめに:うつ病の人との接し方を学ぶために

あなたの大切な人が、うつ病になってしまいました。何とか早く良くなってほしいと願っているのに、「励ましてはけない」「"がんばれ"は禁句だ」などと言われてしまったら、いったいどんな言葉をかけたら良いのでしょうか。うつ病の人とどんな接し方をしたら良いのでしょうか。

 このページは、会社で、家庭で、また友人や恋人などプレイベートな人間関係の中で、うつ病の人との接し方にについて悩んでいるみなさんのために、正しいうつ病との接し方について解説しているページです。


うつ病とは(様々な鬱の種類とうつ病の診断)

 前のページ(心の病)で、心の病と言ってもいろいろなレベルがあるとお話ししましたが、「うつ」も同じです。だれでも、悲しい出来事があれば、憂うつな気分になります。これは、病気ではありません。家族の死のような出来事でも、私たちは何日かすれば、また職場や学校に行くことができます。心の病入門:心の病の様々なレベル:神経症(ノイローゼ)と精神病の違い

 何日しても普通の活動ができないような状態になると、やや病的な「うつ」になります。さらに、脳の病としての「うつ」があります。これは本格的な治療が必要な病です。何の病気でもそうですが、心配であれば一日も早く精神科、メンタルクリニック等専門医の診察を受け、早期発見、早期治療を目指しましょう。

 このページでは、この本格的な「うつ病」について考えていきます。なお、「躁状態」や、また最近特に増えている軽症の「うつ」については、別の機会に書きたいと思います。


うつ病の基本的理解が必要ですが(『「うつ」を治す (PHP新書) 』『うつ病 (メンタルヘルス・シリーズ))、軽くても本人は苦しんでいるうつ病もあり(『軽症うつ病―「ゆううつ」の精神病理 (講談社現代新書)』)、うつだとわかってもらいにくいうつ病もあれば(『気まぐれ「うつ」病―誤解される非定型うつ病 (ちくま新書)』)、うつだと誤解することもあります(『擬態うつ病 (宝島社新書)』)。そのほか、うつ病の人との接し方を学ぶ本。


うつ病の症状(うつ病患者との接し方を考えるために)

 ・意欲減退・憂うつ感・悲観的、絶望的思い・睡眠障害・食欲低下・性欲減退・頭痛、めまい、首や肩のこり・人を避ける・死にたいと思う・考えがまとまらない、仕事の能率が落ちるなど。

うつ病になると、ほとんどの人が、死への思いを持ちます。他のこととは異なり、実行されてしまっては取り返しがつきませんから、慎重な対応、接し方が必要です。自殺は、うつのどん底ではなく、その前後に起こりやすいことも要注意です。自殺予防に関しては、当サイト内のうつ病人と共に:2 「いなくなってしまいたい」思いに応える:うつ病の自殺予防 や、 自殺と自殺予防の心理学をご覧ください。

当サイト内の関連ページ
過労自殺の予防
自殺したいと言われたとき。自殺相談、自殺予防のために。

うつ病の症状をご紹介しましたが、自分自身で最初から抑うつ状態だと自覚できる人はあまりいません。最初は、体の不調を感じるでしょう。

 うつになると、生活全般にやる気が失われます。これに対して、仕事や勉強はやる気がないが、遊ぶことにはやる気があるというのなら、うつ病ではありません。(アパシーや他の心の問題かもしれませんが。)

うつ病の人との接し方の基本ポイント1

 上で紹介した症状は、その人の性格や精神の弱さの現れではなくて、うつの病気の症状です。その人を責めるのは間違っています。またその人が変わってしまったと思うのも誤解です。病気が治れば、症状も消えます。

うつ病の人との接し方を本やインターネットで学んだだけでは、なかなかうまくいきません。それは、あなたが混乱して悲しみや怒りに包まれているからです。患者さんの困った言動は、その人のせいではなく症状だと理解したうえで、冷静な対応ができるようにしましょう。

当サイト内の関連ページ
性格の心理学:自分を好きになり、より良く成長しよう


うつ病になりやすい人

 まじめで、能力があり、責任感の強い人。物事を、順調に、そして完全に成し遂げようと考える人。うつ病の人を見ると、怠け者に見えることがありますが、本来は全く正反対の働き者の人達です。むしろ働き者すぎたために、脳が疲れた状態になっているとも言えます。そして、このようなまじめな人だからこそ、うつ状態で仕事のできないことが辛くてたまらないのです。


 うつ病を抱えながら、ふつうの社会生活を送っている人達が大勢います。また、歴史に残るような業績をあげている人達もたくさんいます。また「鬱な気分」が必ずしも悪いわけではありません(『鬱の力 (幻冬舎新書)』)。

うつ病の人との接し方基本ポイント2

今はうつ病にかかっているけれども、もともとは立派な人で、病気が治れば元の立派な人に戻れるのだと信じましょう。
(『「うつ」な人ほど強く優しくなれる―うつで疲れたあなたの心に効く「こころのリハビリ」 』


うつ病の人との接し方:心の病を持つ人との一般的な接し方の注意点

  • 聞き上手になる。よく話を聞く。理解と共感を示す。(→カウンセリングマインド:話を聞くということ)
     
  • 会話の内容より、感情をくみ取る。
     
  • 人間的な温かさを持つと同時に、相手の問題に巻き込まれて、動揺したりしない。
     
  • 「私はあなたの味方です。常にあなたに関心があります。」ということを伝える。
     
  • 病んでいる部分を指摘するのではなくて、健康な部分を評価する。
     
  • 良くなるためには時間がかかることを忍耐を持って覚悟する
     
  • 自分自身の感情(怒り、不安、焦りなど)をコントロールする。
     

*このような、カウンセリングマインドが必要です。

ただし、こうした冷静な態度、接し方をとれるためには、ご家族や友人、同僚のみなさん自身のストレスに負けない心の健康が必要です。また心に関する正しい知識が落ち着きと冷静さを生みます。
(心理学 総合案内 こころの散歩道 :自分を知り人を知り、いやされて、人間関係を良くしよう)


うつ病の人との接し方:言葉がけ、禁句(家庭で職場で)

  • 休養をとるように勧める。

    そうはいっても、うつ病になるようなまじめな努力家の方にとっては、休むことはとても難しいことです。私は、こんな風に言います。

    「そうですよね。早く良くなって、仕事や学校へ戻りたいですよね。だから、一日も早く良くなるために、今はしっかり休んで治療しましょう。」
     

  • 叱咤激励はしない

    普通の病気であれば、たとえば職場の上司が病気になった時、

    「早く元気になって会社に来て下さい。課長がいないとみんな困っています。」といった言葉は、良い励ましの言葉になるでしょう。

    しかし、うつ病の患者さんには、こんな接し方は逆効果です。ますます自分を追いつめることになるからです。むしろ、たとえば

    「お父さんが入院していても、家族みんなで家を守っているから、お父さんは心配しないで、ゆっくり病気をなおしてね。」といった言葉や態度、接し方が有効です。


励ましてはいけないとしたら、どんな接し方が良いのか


うつ病患者を抱える家族のみなさんへ:うつ病治療の接し方

接し方の基本

 うつ病をはじめ、心の病の治療のためには、家族をはじめ身近な人達の協力と適切な接し方がが非常に大切です。病を理解したうえで、話を良く聞く、共感的に接する、叱咤激励しないようにするといった接し方をしましょう。

こんな接し方は要注意

 悩みを大したことがないと否定したり、不用意な説得、反論、解釈、お説教等をしないようにしましょう。うつの苦しみは、健康な人が外見から想像する以上に大きいのです。

医師、薬の使用と関連したうつ病患者との接し方

 精神科の医師の治療方法や治療方針を理解しましょう。医師や薬への不信は、患者に伝わります。心の病に関する薬には、偏見も多いようです。「薬に頼ってはいけない。」などの不適切なアドバイス、接し方で薬をやめさせることはとても危険です。

 私は医師の言いなりになれとは言いません。抗うつ薬など薬の量や副作用について疑問があるときには、医師に自分の考えを述べ、よく相談しましょう。場合によっては、セカンドオピニオンも必要だと思います。

しかし原則的には、

 うつの薬は安全です。また普通はとても良く効きます。ただし、飲みはじめはまず副作用が先に出て、数週間後に薬本来のの効果が出ます。また症状が長く続いているときには薬の効果が現れにくいことも理解しておきましょう。また、憂うつな気分が治った後も、しばらくは薬をのむ必要があります。医師の指示を良く聞きましょう。

(ただし、うつ病だと思い抗うつ薬を飲んでいたのに、実は躁うつ病であり、本当は気分安定薬が必要だったということはあります。もしも、うつ状態だけではなく、躁状態もあるとしたら、きちんとそれを医師に伝えましょう。話さないと医師もわからないことがあります。正しい診断を受け、適切な薬を飲みましょう。)

このような基本的なことを理解したうえで、

うつ病の患者さんを休ませるための接し方

 うつ病治療のためには、休息させる。心身の負担を全て取り去ることが基本です。

 不用意に運動させたり、本人の意思を無視して無理な旅行や娯楽などに連れだしたりしない方が良いでしょう。良かれと思ってこのような接し方をするのですが、逆効果です。

光を浴びることや、散歩によって、症状が改善することもありますが、決して無理はいけません。周囲の人間はもちろん善意で行っているのでしょうが、疲労は避けた方が賢明です。運動は、諸刃の剣です。十分良くなった段階での、軽い運動や家事は有用です。重症の場合は、身体の病気と同様に見舞客を断る必要もあります。

うつ病の治り方に関連する接し方

 症状には、一進一退があります。冬から春の三寒四温と同様です。坂道をまっすぐ上るようには、良くなりません。骨折が治るようには、直線的には治らないのです。心の病は、らせん階段を登るように、あちらこちらに行きながら、ゆっくり良くなっていきます。良くなりそうに見えても、長期間かかることを理解し、決して焦らないようにしましょう。


一喜一憂してはいけません。その時々の感情に振り回された接し方は控えましょう。

うつ病患者とのより良い接し方のための家族のあり方

 家族が不和になると、患者に悪い影響を与えます。看病で疲れ切ってしまうこともあるでしょう。あのしっかり者だったお父さんやお母さんの今の姿を見るのは、とてもつらいでしょう。でも、こんなときこそ、家族みんなで、支えあい、仲良くなることが大切です。それが、うつの人へのより良い接し方につながります。

そうはいっても、あの働き者だった人が、まるで別人になったように寝ている姿を見ると、家族にとってはとても辛いものがあります。ご家族であるあなた自身の心の健康、やる気がどうぞ支えられますように。

なぜ、こんな病気になってしまったんだろうと、患者さんやご自分を責めず、病気があっても幸せになれますように。→「なぜ」ではなく「何のために」(原因探しをやめて、癒され幸せになるこコツ)

夫のウツは私のせいだとご自分を責めている奥様もいますが、どうぞご自分を責めないでください。
(『ダンナの ウツは私のせい?』)

***

患者さんを支えるのが家族の役割ですが、その家族を支えるのが、さらにその周囲の人々の役割だと思います。より良い接し方ができるように、周囲が家族を支援しましょう。

 病気の治療は病院で行ないますけれども、家族、会社、友人たちの力はとても大切です(『家族・支援者のための うつ・自殺予防マニュアル』・『家族力がうつから救う! [宝島社文庫] 』・『「会社力」がうつから救う!―職場の「うつ対策」完全マニュアル 』)。そのほか、うつ病の人との接し方を学ぶ本。




うつ病患者の家族への接し方:周囲の人々に必要な配慮

 家族の心労、苦しみは、とても大きいものがあります。疲れ果て、いらついてしまうのも無理はありません。家族を責めたりせず、共感的理解を示せれば、どんなによいでしょう。

 また、家族が息抜きもできないと、家族の方がまいってしまうこともあります。家族自身のためにも、患者のためにも、友人や親戚のみなさんが、ご家族を支えることが、とても大切です。

 病人を支える方々にとって、とても大切なことは、自分自身を守るということです。どうぞご自分の体と心の健康に十分注意してください。あなた自身が、心や体を休めることができるような工夫を、ぜひ考えましょう。そうすれば、きっと患者さんへの接し方も変わってくるはずです。


うつ病で入院が必要な場合

 家庭で看護ができない・重い身体的合併症・拒食、拒薬・自殺の恐れが強い場合などは、入院が必要です。



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